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この記事を見られている読者さまは、お顔にキノコがはえた人を見かけたことがありますか? 私はありません。しかし、お顔にカビをはやしてしまった方と、お話したことがあります。
前回の記事では、手作り化粧水にヒアルロン酸を配合することには、慎重になるべきであると書きました。今回の記事では、ヒアルロン酸を手作り化粧水に加えることによって生じた事故で、私が知る限りの最悪の例について、書きたいと思います。
ヒアルロン酸は今日では、微生物による合成で生産されています。ヒアルロン酸には高分子のものから、低分子のグレードまであるようです。化粧品に使用される多くのヒアルロン酸は、いわゆる低分子ヒアルロン酸です。高分子になればなるほど製造コストも上がり、お肌への浸透も低下してしまうわけですから・・・。
さてこの低分子ヒアルロン酸ですが、角質層への浸透性にたいへん優れていて、お肌がとても潤うようです。しかしたくさん使うと、潤い過ぎます。そして潤い過ぎると、予期せぬ肌トラブルが生じます。角質層内の水分量が高くなりすぎて、真菌(カビ)の温床になってしまうことがあるようです。
弊社はちょくちょく百貨店さん等で実演販売をさせていただきますが、お客様からスキンケアについてよくご相談をいただきます。最近よく聞くのが、低分子ヒアルロン酸を使用したスキンケア製品や、低分子ヒアルロン酸を使用した、自作の手作り化粧水による肌トラブルです。化粧品に頻繁に使用し始めたのはごく最近のため、ネット上での事故情報は少ないですが、これからは増えてくるのではと思われます。
そのお客様はナチュラルコスメ志向で、美肌成分を購入して、本をみながら手作り化粧水をお作りになられていました。ある時インターネットで販売されていた低分子ヒアルロン酸にひかれて購入し、さっそく使い始めたわけです。その潤い効果は抜群で、欲張りになってもっと潤いたいと思い、低分子ヒアルロン酸の濃度を高めたそうです。
そうしているうちに、お肌に異常が現れ始めたそうですが、低分子ヒアルロン酸が原因とはわからずに、そのまま使い続けたそうです。そしてとうとう異常が顔じゅうに広がり、お医者さんに駆け込みました。お医者さんの見立てでは、お肌の水分量が多くなり過ぎて、顔が水虫だらけ(ご本人の表現)になったそうです。カビ(真菌)の一種である白癬菌がお顔に生えた状態で、いわゆる「タムシ」という皮膚病です。
その後お医者さんからは「アトピー性皮膚炎」の発症も告げられたそうです。お顔がカビた際にご自身で様々な薬剤を塗布したとのことですが、どうやらこれが原因のようです。使用する保湿剤も制限され、かなりの長期間もの苦しい時を過ごされたようです。幸いにもお店でお会いした時は、皮膚炎がわずかに見受けられる程度まで、症状は落ち着いていましたが・・・。
このように低分子ヒアルロン酸には、肌とラブルを生じた際に処置を間違うと、大人アトピーを発症してしまうようなリスクさえ現実に存在します。そこまでのリスクを覚悟してまで、手作り化粧水を実践する必要などないでしょう。ヒアルロン酸は他の保湿成分で、充分補えると、私は考えます。
次回の記事では、手作り化粧用の保湿成分としては人気の高い、尿素について書きたいと思います。
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